強い悲しみを感じると人は泣きます。
心が弱っているときには、
些細なことでも涙がこぼれます。
「悲しみと涙の関係」は
医学的に解明されていません。
しかし感情と神経系との関係はわかっています。
悲しみを感じたときには、
副交感神経が刺激されます。
副交感神経とは、大ざっぱにいえば
「リラックスするためのシステム」です。
つまり悲しみの涙には、
心をリラックスさせる作用があるのです。
たとえば、かわいがっていたペットが死んでしまえば、
誰もが悲しみを感じます。
悲しみがあまりにも強がったり、
長期間続いたりすれば、
これはさまざまな病気につながります。
うつ病はその典型です。
目 次
泣きたいときは泣いたほうが精神的にはいい
悲しみが原因で病気になるからには、
強い悲しみを感じたときには、
生体防御システムが働くのは自然なことです。
泣くことはストレスを発散し、
健康を維持する生体防御システム
と考えることができるわけです。
実際、思いっきり泣いたあとには
スッキリした感覚を得られるものです。
逆に、涙をこらえるのは精神的によくありません。
しかし、日本には人前で泣くことを恥とする文化があるので、
一人になったときに、あえて感情を盛りあげて泣くことは
精神衛生上とても良いことなのです。
音楽によって心の不調をいやす音楽療法の世界には、
「同質の原理」という考え方があります。
そのときの気分、雰囲気と同じ曲を選ぶことが、
より効果的に心のバランスが回復するものです。
これが「同質の原理」です。
たとえば悲しい気持ちになっている人には、
無理して楽しい曲を聴かせるのではなく、
あえて悲しい曲を聴かせるわけです。
涙を誘う娯楽作品は少なくない
人は本来悲しみを求めていません。
誰もが楽しく愉快に生きていきたいと切望しているものです。
しかし、娯楽世界には悲しいだけの小説、悲しいだけの映画、悲しいだけの音楽が少なくありません。
すすんでこれらを求める人もいます。
たとえば
『火垂るの墓(ほたるのはか)』は、ただただ悲しい内容です。
『フランダースの犬』は、たった一人しかいない肉親を失った少年が
絶望の果てに凍死するというストーリーです。
にもかかわらず、
どちらも多くの人に支持された、大ヒットアニメです。
これはつまり、人は悲しむこと、泣くことを求めている
ということでしょう。
涙を誘う娯楽作品のように
度を越えた強い悲しみでない限り、涙することは
生理的に心地よいものだと考えられるわけです。
そうでないのなら、世の中に「涙する、悲しい作品」が
溢れている整合性がつきません。
泣いて心をリラックスさせる
今や、わざと泣けるDVDを観て、
泣いてスッキリしようという人が増えています。
涙が気持ちをスッキリさせてくれる
ということが世の中に
急速に知れ渡っています。
メディアでも取り上げられています。
日々、感情を押し殺して生活している人は、
積極的に泣けるDVDやを観たり、
泣ける小説を読むことをお勧めします。
泣いてストレスを発散させることは、
精神的疲労の回復にも有効なことなのです。