卵は、きわめてすぐれた栄養食品です。
タンパク質、脂肪、カルシウム、鉄分、
リン、ビタミンA、ビタミンB2 、DHA
などが豊富です。
さらに、人体では合成されない必須アミノ酸の9種類が
すべて含まれています。
また、調理法によって栄養の吸収に差が出ることも
ほとんどありません。
賞味期限は
常温で2週間、
冷蔵庫では約1ヵ月は可能
といわれています。
栄養価が高いだけではなく
「安価で、便利な食品」
です。
目 次
「卵はコレステロール値を上げる」という俗説
しかしその超優良食品を、
コレステロールが多いから「1日1個まで」しか
食べないほうがいいといわれてきました。
卵の食べ過ぎは
血中コレステロールを増加させる。
それにより動脈硬化の原因になる
という卵を悪者扱いする俗説が
信じられてきました。
とくに中高年の人に、この説を信じている傾向があります。
本来コレステロールは人体に必要なものです。
これをむやみやたらに遠ざけていれば、
かえって健康は損なわれてしまいます。
「うさぎ」の実験結果が「卵とコレステロール」の俗説の発端
それでは卵の食べ過ぎはコレステロール値を上げるという、
この俗説はいつ頃、どうして出来たのでしょうか。
実は、はっきりとわかっています。
この俗説は、今から100年以上も前のロシアでの実験から
端を発しています。
実験では、「うさぎ」に卵を食べさせたところ、
血中コレステロールが増加し、動脈硬化が起こった。
だから、「コレステロールは動脈硬化の原因だ!」
と結論づけられました。
しかし、うさぎは草食動物です。
植物にはコレステロールは含まれていません。
そんな草食動物のうさぎに卵を食べさせれば、
コレステロール値が急上昇してしまうのは当然です。
そもそも、このうさぎの実験によって得られた結果を
人間にあてはめること自体が、
あまりに無理があります。
実験の前提条件が、
現代の科学実験では考えられないことで、
これがナンセンスな俗説の原因となってしまったのです。
あえて卵の注意点をあげるなら…
卵を食べてはいけないのは、
血中コレステロール濃度が病的に高い人と、
アレルギー体質の人だけです。
卵1個に含まれるコレステロールは約250㎎です。
健康な人であれば、
毎食1個、1日に3個ずつ毎日食べ続けても、
何ら問題はありません。
あえて注意すべき点をあげるとすれば、
生卵の食べすぎです。
生卵の白身にはビタミンH(ビオチン)の吸収を妨げる
アビジンという物質が含まれています。
しかしこれは、加熱処理をすれば問題はありません。
最低でも「半熟」にすれば、
ビタミンHの吸収が妨げられることはありません。
「加熱して食べる」
これを忘れずにいれば、
なんら卵を恐れる必要はないのです。
厚生労働省、日本動脈硬化学会も近年訂正した!
厚生労働省は2015年4月に「食事摂取基準」で
コレステロールの基準を撤廃しています。
日本動脈硬化学会も2015年5月に
「食事で体内のコレステロール値は変わらない」
との声明を発表しました。
同学会は動脈硬化を防ぐには食事を含め運動など
生活習慣全般の改善が必要と指摘しています。
コレステロールを多く含む卵だけでなく、
バター、エビ、イクラなどは悪者扱いされてきましたが結局、
これもまた俗説だったのです。
健康のためにも、栄養があっておいし卵を
もっとたくさん食べましょう。