真夏になると話題にあがるのが熱中症です。
熱中症になる主な原因は脱水症です。
体の水分が減るということは、
汗になる水分が減るということです。
汗が出ないと
体温上昇の危機に陥ります。
こまめな水分補給は不可欠です。
人体の水分は体重の60~70%を占めます。
その3%が失われただけで、
頭痛や嘔吐や食欲低下などの症状が出ます。
10%以上減ると
命に関わる重篤な状態に陥ります。
それほど水分は体にとって大切なのです。
さらに近年、水分不足は
熱中症だけでなく、
脳機能(学習能力、認知能力)にも
大きな影響を与えることが
わかっています。
子供たちの半分以上は日常的に水分不足?
<コネティカット大学>
2011年、アームストロング博士らの論文で
「水分の減少が、
たとえ体重の1%以下であっても、
記憶力の低下や認知エラーが起こる」
と発表しています。
1%の水分減少は、
頭痛はもちろん、
喉の渇きすら感じない
量です。
この程度の脱水は、
夏季だけでなく、
1年中起こりえるレベルです。
【海外の子供たちの調査結果】
朝、登校してきた生徒たちを検査すると、
すでに大半の子どもたちが
脱水状態であることがわかっています。
イスラエルの調査→63%の生徒
イタリアの調査→84%の生徒
が脱水状態に該当したという調査があります。
実際に水分が正常な生徒よりも、
脱水状態の生徒の方が暗記のテストで
点数が低い結果が出ています。
2012年行われた
アメリカ、 イギリス、フランスの調査でも
3人に2人の割合で
脱水状態の生徒が見つかっています。
水分補給による脳機能(学習能力、認知能力)のテスト
水分補給と脳機能の関係は、
イーストロンドン大学の
エドモンズ博士らが
詳細に調べています。
小学生の実験
2009年には、小学校低学年の生徒58名を対象に、
物語を読んで聞かせるテストを行っています。
物語の内容を四択問題で答えるテストでした。
平均点は2.8点でしたが
20分前にコップ一杯(約200ml)の水を飲んだ生徒は
点数が約10%高い結果がでました。
とくに難しい問題の正解率が高かったという
興味深い結果でした。
ちなみに、この実験は3月に行われたもので、
夏季特有のひどい脱水症状とは無関係です。
おそらく生徒たちは、
日常的に水分が不足している状態にあるため、
わずかな水分補給であっても、
認知能力が回復したのでしょう。
大人の実験
2013年、エドモンズ博士らは、
同様な実験を
大人に対しても行っています。
平均年齢29歳の男女34人を対象。
見たものを素早く判断する認知試験。
大人の場合は子どもに比べ、
多くの水を飲まないと効果はなかった。
それでも500mlほど飲めば、
判断スピードが14%ほど速まったのです。
まとめ
脳は身体のなかでも
特に水分の多い臓器です。
総重量の70~80%が水です。
これを考えると、
水分不足は、身体に症状が出る前に、
脳機能にダメージが表れるのでしょう。
職場でも、小学生でも
常に水分補給ができるように
ペットボトルなどで水を携帯することを
習慣かすることが大切です。
特に小学生は、中学生は、
文部科学省、学校側で
日常の水分補給を強く指導することが
今後の大切な課題です。
ちなみに
お茶やコーヒーで水分補給をすると、
利尿作用にえり、
逆に水分を失うので要注意です。