「おにぎりは素手で握るのが一番、
いやいや衛生上、ラップや使い捨てビニール手袋を使うべきだ」
という意見が以前から話題になります。
では同じく素手で握るお寿司はどうなのだ
という話もあります。
実はお寿司による黄色ブドウ球菌食中毒は
あまり発生していません。
お寿司は、基本ナマモノがのっているため、
常温で保管されることはなく、
通常すぐに食べるものです。
しかし、おにぎりは握ってすぐ食べるよりも、
時間をおいて、しかも常温で保管されるケースが通常です。
そこにお寿司とおにぎりの違いがあるのです。
なお、巻き寿司やいなり寿司の食中毒の事例も多いことから、
酢の殺菌効果で酢飯は安心ということはありません。
目 次
おにぎりを素手で握るのは危険
おにぎりの食中毒の主な原因菌は
黄色ブドウ球菌です。
手洗いが不十分であったり、
傷のある手でそのままおにぎりを握ることで
汚染の原因になります。
エンテロトキシンは一度作られると、
加熱しても壊れません。
黄色ブドウ球菌による食中毒の発生件数は、
5月から10月までが危険期間です。
6月ぐらいから増え始め、
ピークは7月~9月の夏です。
黄色ブドウ球菌の食中毒の症状
吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などが起きます。
なかでも嘔吐が激しいのが特徴です。
おにぎりの食中毒は、多くが黄色ブドウ球菌が原因
黄色ブドウ球菌は
健康な人であっても、
手、鼻の粘膜、のど、腸や、
傷口など化膿した場所から
よく検出される普段身の回りにいる細菌です。
ただし、黄色ブドウ球菌自体が
人体の中で害をもたらすのではありません。
食品の中で黄色ブドウ球菌が
大量に増殖する際に作り出される
エンテロトキシンという
毒素によって人体に害をおよぼすのです。
ごはんは湿度も温度も高く、
黄色ブドウ球菌にとっては
とても居心地の良い環境です。
このような環境だと、
黄色ブドウ球菌が増殖して、
エンテロトキシンをつくりだします。
梅干しのおにぎりもアウト!その理由は?
梅干しを入れたおにぎりなら大丈夫
と思う人も多いと思います。
しかし、梅干しの抗菌作用について
期待できないという実験結果があります。
東京都衛生局が
東京都健康安全研究センターでおこなった実験で、
サルモネラ菌とO157は
梅干しのまわりでは抗菌性があったが、
全体の抗菌はされないという結果でした。
梅干しの抗菌作用が期待できたのは
昔ながらのすごくすっぱい、しょっぱい
梅干しのことです。
しかし近年、消費者の嗜好や健康志向の高まりで、
減塩梅干しが増えています。
昔ながらの、
すごくすっぱい、しょっぱい梅干しは
塩分20~25%、
酸が6%ぐらいだった
といわれています。
しかし現在は
塩分5%程度、
酸も2~3%です。
これでは抗菌性は
ほとんど期待できません。
抗菌性は最近の市販の梅干しにはない
と考えた方がいいでしょう。
おにぎり食中毒を予防は菌をつけない、増やさない!
おにりを握るときは、ラップやを使い、
素手が触れないようにしてください。
中に入れる具も同様です。
たとえば、サケの身をほぐしたり、
のりを巻いたりするときに、
素手で触ってしまうことがあるので
気をつけましょう。
しかし、どうしても素手で
おにぎりを握らなくてはならないときも
あるかと思います。
そのような時は、対策として
よくよく石鹸と大量の水で
時間をかけて丁寧に手洗いをしましょう。
前夜におにぎりを作って、
「朝たべる」
「お昼に持っていく」
は絶対にNGです。
黄色ブドウ球菌は7~8時間かけて増殖します。
前日に作っておくと、
食べるときには
おにぎりに毒素が大量に蓄積されている
可能性が高まります。
また、お昼に残したおにぎりを、
夕方にお腹が空いたからと食べるのも、
非常に危険行為です。
夕方では朝握ったおにぎりを10時間後に
食べることになってしまいます。
黄色ブドウ球菌は
ケガをした場所に多く付着します。
そのため指の切り傷や、ひび割れなど
手荒れを防ぐことは
料理をする人は不可欠です。
手の常態が悪いときは
使い捨てビニール手袋を使うことが
重要です。
使い捨てビニール手袋は備品として
台所に備えておくことが大切です。
しっとり、すべすべの手は、
食中毒対策の面からもよいことなのです。
ケガや手荒れがある場合は、
使い捨てのビニール手袋などをはめて
料理をすることが鉄則です。
まとめ
科学的根拠は当然なく、心理的なもの
●おにぎりの食中毒のほとんどは
黄色ブドウ球菌の増殖で発生する毒素
「エンテロトキシン」によるもの
●黄色ブドウ球菌の毒素「エンテロトキシン」は
熱に強いため、加熱で解毒することはできない
●黄色ブドウ球菌のおにぎりの食中毒は、
気温が高いほど起こりやすいため、
夏が最も危険
●おにぎりはラップや使い捨てビニール手袋を使い、
素手に触れないように握る。
また、具材も同様に素手で触ることは非常に危険
●おにぎりをその場ですぐに食べる場合には、
手をよく洗浄すれば素手で握っても問題はない
●すぐに食べないおにぎりをつくったら、
いったん冷蔵庫で急速に冷やす
今回の説明はおにぎりを
時間をおいて後に食べるとか、
朝に作って外に持っていって、
お昼に食べるなどの場合を指しています。
例えばお母さんが台所でおにぎりを握って、
子どもがその場ですぐに食べるのであれば、
手をよく洗浄すれば
たとえ素手で握ったとしても問題はありません。
あくまでも素手で握ったおにぎりが、
時間をおくと
黄色ブドウ球菌が増殖し、
毒素が発生して危険という説明でした。
ちなみに、海外には一般的に、
おにぎりという食文化はなく、
おにぎりの食中毒は日本特有のものです。