1967年7月14日、
ひし見ゆり子は『ウルトラセブン』の
アンヌ役のオーディションのため
円谷(つぶらや)プロダクションを
訪れていた。
私服でのカメラテストが
おこなわれているとき、
ドルン!ドルン!ドルン!という
すごい音がして、
変わった車が円谷プロに入ってきた。
降りてきた男を見て、
ひし見ゆり子は「森次君」と
思わず声を掛けた。
森次晃嗣(もりつぐこうじ)は、
モロボシダン役であった。
ひし見は森次とは
「天下の青年」というドラマで
共演したばかりで、
お互いよく知っているなかだった。
ちなみに、ひし見は森次よりも4歳年下だ。
この日、森次晃嗣は
ウルトラセブン撮影初日で、
山梨県の西湖(さいこ)での
ロケの帰りだった。
森次の車は廃車寸前のアメ車、
クライスラーを5万円で買って
50万円かけて改造したものだ。
森次は当時運転免許を持っておらず、
運転手が運転していた。
仕事が忙しく、3回教習所を断念して、
森次が運転免許を取得したのは
30歳頃のことだ。
目 次
アンヌ隊員のピチピチのコスチューム(隊員服)のわけ
ひし見ゆり子はカメラテスト後、
かの有名なコスチュームに
着替えた。
このコスチューム(隊員服)が
すごくきゅうくつだったことを
ひし見はよく覚えている。
実はアンヌ役には東宝のひし見の一期先輩、
豊浦美子に決まっていた。
ウルトラセブンの撮影も始まっていたが、
豊浦に映画出演の話が来たため、
急きょ降板となった。
(豊浦はまさに幻のアンヌ隊員である)
そのため豊浦の体型に合わせて作られ
たコスチュームを、
ひし見はそのまま使用したのだ。
映像からもピチピチのコスチューム
であることが感じ取れる。
このアンヌ隊員の
ピチピチのコスチュームが
後にネット上話題になり、
世の男性をまいらした。
ひし見ゆり子が演じた、アンヌ隊員の
このウルトラ警備隊の
コスチューム、ヘルメット姿が
非常にかっこよかった。
ひし見ゆり子はアンヌ隊員役が
運命の当たり役だったのだ。
ひし見ゆり子プロフィール
(旧姓 菱見)
【生年月日】1947年(昭和22年)
6月10日
【身 長】158cm
【血 液 型】 O型
【出 身】東京都中野区
【学 歴】 藤村女子高校卒
●東宝主催の
「ミス東京セニョリータ」
準ミスに入選
●東宝ニューフェイスに選ばれる
ひし見ゆり子がアンヌ役に決定した時
ひし見はオーディションの次日、
友だちの誕生日を祝って夜帰宅した。
母親から、円谷プロから何度も電話があり、
アンヌ役に選ばれたことを知らされた。
“特撮界の永遠マドンナ”の誕生であった。
すでに台本も自宅に届けられていた。
翌日に電話があり「明日から撮影です」
と告げられた。
ひし見ゆり子は飲み会が大好きだった!
中山(キリヤマ隊長役の中山昭二)が
顔合わせだといって、
スタッフと隊員役の俳優全員で
どじょう屋に食事に行った。
二次会は銀座。
実は当初、ひし見は
毒蝮三太夫
(どくまむし さんだゆう:フルハシ役)を
怖がっていた。
当時の毒蝮三太夫
毒蝮は前シリーズの
ウルトラマンにも出演しており
貫禄と存在感があった。
仲良くなりたいとひし見は考えた。
そこで、ウイスキーの水割りを
早く飲んだほうが、
千円もらえる一気飲みの勝負をした。
5、6回連続してひし見が勝つと、
毒蝮はひし見のグラスに水ではなく
ジンを入れていたずらをしたのだ。
それを知らずに飲んだ菱見は、
口の両端からピューッと噴き出した。
しかしこの時のことは、
ひし見本人は酔っていて記憶にない。
翌日の撮影の時に中山から聞かされたという。
ひし見本人は人見知りでお酒を飲まないと、
人とまともに話せないと話す。
ウルトラセブンのスタッフや俳優仲間とは、
撮影期間よく飲みに行っていた。
最終回でダンとアンヌの最後のシーンの撮影風景、中央は満田監督が写っている非常にレアな画像
ひし見はウルトラガンを撃つシーンの撮影で
手がプルプルと震えてしまう。
実はウルトラガンは見た目よりも
すごく重かったそうだ。
すると周囲から「酔っているみたいだ」
と冷やかされた。
実際、銃のアップは
助監督に代わってもらっていた。
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ひし見ゆり子はウルトラセブンの撮影期間、ニキビに悩んだ
ひし見ゆり子は当時、
公私共に多忙でニキビが顔に出てきた。
満田監督に怒られ
「第11話 魔の山へ飛べ」には
出演してない。
しひ見は、それでも一緒にロケには行って
「早く撮影終わらないかな」と、
旅館での打ち上げを楽しみにしていたという。
また、第8話の「メトロン星人」では、
ダンとアンヌが喫茶店で
外を見張っているシーンで、
ひし見のニキビ肌がもろにアップされ、
そのまま放映されている。
他の回でも、ひし見のニキビが
映っているシーンが頻繁に放映された。
まとめ
ウルトラセブンのファンや視聴者には
1967年10月1日~ 1968年9月8日に
放映された49回の作品内で
登場人物のイメージや
ウルトラセブンの世界観は
確立されたものである。
こうした裏話が語られると
夢が壊れるかもしれない。
しかし、放送から50年以上がたてば
こうしたこぼれ話もまたファンにとっては
格別なものともいえるのではないだろうか。
また、アンヌ隊員は、
ウルトラシリーズのヒロインの象徴だ。
現在でもアンヌ隊員像に憧れ、惚れて、
『ウルトラセブン』を何らかの形で
視聴しているアンヌ隊員ファンは
国内外にたくさんいる。
女優、ひし見ゆり子が演じた
アンヌ隊員は永遠に作品に残り、
今後もファンを生み出していくであろう。
円谷プロのフィルム倉庫にはアンヌ隊員の
膨大な未使用シーンや、NGシーン、
撮影現場風景などのフィルムが
保管されているはずだ。
放送から50年以上が経過しており、
いまだにこれだけの
アンヌ隊員に特化した
ファンが存在する。
当然、ひし美ゆり子の未公開映像は
大変な商品価値があると推察できる。
未公開のアンヌ隊員の映像が見たい!
アンヌ隊員ファンの一人として、
円谷プロには、ぜひ秘蔵フィルム内の
アンヌ隊員のブルーレイ・DVD化の
一考を切望する。