出産後の母親は、
よろこびと同量の大変さがあります。
絶え間ない日々の授乳やおむつ替え、
寝かしつけ、洗濯、掃除、料理、買い物etc.
初めてのことばかりで疲労困ぱいです。
しかし、身体的な疲労だけでなく、
気分が落ち込んだり、
イライラしたりといった
精神的変調をきたす場合が多くあります。
これは「産後うつ」の可能性があるのです。
「産後うつ」とは出産後に現れる
うつ症状のことです。
育児へのプレッシャーや不安などが
ストレスになって発症する
うつ病の一種と考えられています。
夫や親の協力を得られず、
1人で育児を孤軍奮闘している
母親ほど発症する確率が高くなります。
「家事も育児も完璧にこなしたい」
という人や責任感が強い
“頑張り屋さん”は
特に注意が必要です。
目 次
産後うつ症状をチェック
下記の項目に当てはまる症状はありますか?
産後の母体は
妊娠前の状態に戻ろうとするために
ホルモンバランスが変化し、
心身ともに不安定な状態になります。
この期間は「育児疲れ」と「孤独感」が重なり合って
家事と子育てを両立できない罪悪感で、
産後うつを発症すると考えられています。
産後うつは個人差がありますが、
だいたい産後2、3週間頃から
発症する人が多くいます。
しかし産後3、4ヶ月が過ぎてから
症状が出る人もいます。
中には産後1年を経過した後にも
症状が現れる場合もあります。
また、治まるまでに
2、3ヶ月はかかることが多いです。
「産後うつ=うつ病」治療が不可欠
「産後うつ」の治療には、
心療内科などで、
カウンセリングや
抗うつ剤、精神安定剤などの薬を処方してもらいます。
症状が軽ければ、カウンセリングで
悩みや不安などの話を聞いてもらうだけでも
改善されていきます。
通院やカウンセリングは
1回に数千円かかりますので、
苦悩の中での母親やその家庭は、
金銭的負担が
さらなる追い打ちとなってしまいます。
厚生労働省が「産後うつ」の予防とサポートに動いた!
「現代の少子化の中で、
出産した母親や家庭を
社会が手厚くサポートする」
との理念のもと、
厚生労働省は
出産後の母親が
育児への不安や重圧によって、
精神的に不安定になる
「産後うつ」を予防するため、
2017年4月1日から
健診を受ける際の費用を助成します。
深刻化すれば
虐待や育児放棄につながる恐れがあります。
不調の兆しを早めに見つけ、
自治体の相談窓口など
適切なケアにつなげるのが狙いです。
「産後うつ」はだいたい10人に1人が
経験するとされ、珍しいことではありません。
診察費用の助成は産後2週間と1ヵ月の2回、
それぞれ5,000円が上限とし、
国と市区町村が半分ずつ負担します。
一般的な健診費は約5,000円のため、
自治体では補助券などを発行して
無料で受診できるようにします。
出産した医療機関以外での健診も
助成の対象となります。
厚生労働省の研究班が
2012年~2014年度に実施した調査では、
初産の場合、
うつ状態など精神的な不調に陥る人は
産後2ヵ月ごろまでに多く、
産後2週間の時期に発症のリスクが高かった
という調査結果が出ています。
1ヵ月健診は誰でも受けていますが、
これは「子どもの発育の確認」が中心です。
研究班はより早い段階から、
精神的に不安定になりやすい母親へのケアを
充実させる必要があると指摘しています。
健診では母親の身体的な回復状況に加え、
授乳がうまくできているかなど、
子育ての悩みを幅広く聞きながら、
母親の心身の状態を把握するようにしていきます。
支援が必要と判断されれば、
市区町村による育児相談や指導のほか、
宿泊・日帰りによる産後ケア事業の利用などを
促すことになります。
このように、行政で
母子の健康をサポートする動きは、
今後さらに進む、日本人の少子化に
マッチした考え方でとてもよいことです。
このような社会全体でのサポート体制があると、
出産育児を決意する人が増えると思います。
2017年度からの
「産後うつ」検診費の助成をさきがけに、
さらなる母子のサポート体制が
充実していくことを願います。